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拠点形成事業
独立行政法人日本学術振興会研究拠点形成事業 B.アジア・アフリカ学術基盤形成型
北里・野口感染症研究開発センターをハブとした西アフリカ・ネオマダニ研究拠点の形成
マダニは、ヒトおよび動物に多様な病原体を媒介する重要なベクターであり、畜産、獣医学、公衆衛生の各分野において深刻な課題となっています。特に西アフリカでは、マダニの生態、分布、媒介病原体、殺ダニ剤耐性に関する研究基盤が十分に整備されておらず、地域特性に即した科学的データの蓄積と対策技術の確立が急務です。
本事業では、ガーナ大学野口記念医学研究所内に設置された北里・野口感染症研究開発センター(Kitasato-Noguchi Research and Development Center for Infectious Diseases: KNrdc)を中核拠点とし、ガーナ、ベナン、コートジボワールの研究機関と連携して、西アフリカにおけるマダニ研究拠点の形成を目指します。
日本が培ってきたマダニ研究、ベクター・バイオロジー、創薬研究、データサイエンスの知見を現地のフィールド研究と融合させ、「マダニ研究パッケージ」として展開します。これにより、マダニの生態・分布調査、媒介病原体の解析、殺ダニ剤耐性の把握、抗マダニ薬の探索、人工吸血系および実験室内マダニ繁殖系の導入を進め、西アフリカに根ざした持続可能な感染症対策モデルの構築を図ります。
さらに、マダニデータセンターの整備を通じて、地域ごとのフィールドデータ、病原体情報、環境情報を集積・解析し、感染症リスクの可視化と対策の最適化を推進します。本事業は、地域社会の健康と畜産振興に貢献するとともに、アフリカ全域へ展開可能な新たなベクター研究基盤、すなわち「Neo Vectorology」の創出を目指すものです。
事業概念図

研究交流目標
本研究交流計画は、西アフリカにおけるマダニ媒介感染症研究を発展させ、持続的な感染症対策の基盤を確立することを目的としています。交流期間を通じて、日本と西アフリカ諸国の拠点機関が、共同研究、セミナー、研究者交流を有機的に組み合わせ、自立的で継続的な国際研究交流拠点の構築と、次世代を担う若手研究者の育成に取り組みます。
1.西アフリカにおける自立的なマダニ研究拠点の形成
ガーナのKNrdcをハブとして、ガーナ、ベナン、コートジボワールを結ぶマダニ研究ネットワークを形成します。フィールド調査、分子解析、病原体検出、データ解析、創薬研究を一体化した研究体制を整備し、現地研究者が自立的に研究を推進できる環境を構築します。
特に、西アフリカの優占マダニ種を対象に、生態、分布、宿主選択、病原体媒介機構を明らかにし、地域特性に基づいた制御・予防策の開発を進めます。これにより、西アフリカ全域に応用可能なマダニ媒介感染症対策モデルの確立を目指します。
2.マダニデータセンターによる感染症リスクの可視化
本事業では、マダニの分布、環境要因、媒介病原体、薬剤耐性、宿主情報などを統合するマダニデータセンターの構築を進めます。得られたデータをデータサイエンスおよびAI技術により解析し、地域ごとの感染症リスクを可視化します。
これにより、流行予測、早期警戒、地域別対策の立案を可能にし、研究成果を行政、保健機関、畜産現場、地域社会へ還元することを目指します。
3.マダニ研究パッケージの導入と発展
日本側が有するマダニ研究技術、病原体解析技術、人工吸血系、実験室内マダニ繁殖系、創薬研究基盤を組み合わせた「マダニ研究パッケージ」を西アフリカへ導入します。
このパッケージにより、野外で得られたマダニや病原体情報を実験室で解析し、その成果を再びフィールド対策へ還元する循環型の研究体制を確立します。フィールドとラボを往復する実践的な研究により、地域の実情に即した新たな防除法、診断法、予防法、抗マダニ薬の開発を推進します。
4.次世代の中核を担う若手研究者の育成
本事業では、マダニの分布、環境要因、媒介病原体、薬剤耐性、宿主情報などを統合するマダニデータセンターの構築を進めます。得られたデータをデータサイエンスおよびAI技術により解析し、地域ごとの感染症リスクを可視化します。
これにより、流行予測、早期警戒、地域別対策の立案を可能にし、研究成果を行政、保健機関、畜産現場、地域社会へ還元することを目指します。
5.African Tick Consortium への発展
本事業で形成される西アフリカの研究ネットワークは、将来的にアフリカ大陸全体のマダニ研究拠点と連携し、African Tick Consortium へと発展することを視野に入れています。
東アフリカ、南アフリカの既存拠点と連携しながら、西アフリカにおける中核的研究拠点を確立することで、地域ごとの優占マダニ種や感染症リスクに応じた対策を共有し、アフリカ全域における持続可能なマダニ媒介感染症対策の推進に貢献します。
実施組織
日本側実施組織
拠点機関
学校法人北里研究所
北里大学医学部寄生虫学・熱帯医学
中核拠点
北里・野口感染症研究開発センター
Kitasato-Noguchi Research and Development Center for Infectious Diseases: KNrdc
コーディネーター
辻 尚利
北里大学医学部寄生虫学・熱帯医学 教授
北里・野口感染症研究開発センター センター長
主な実施内容
日本側拠点では、マダニ研究、寄生虫学、感染症学、創薬研究、データサイエンスを基盤として、西アフリカ拠点との共同研究、若手研究者育成、研究者交流、セミナー開催、データベース構築を推進します。北里大学が有する研究施設、技術支援体制、国際連携体制を活用し、現地拠点の自立的発展を支援します。
相手国側拠点機関・協力機関
ガーナ
ガーナ大学野口記念医学研究所
Noguchi Memorial Institute for Medical Research, University of Ghana
ベナン
アボメ-カラビ大学
Centre de Recherches Entomologiques de Cotonou, University of Abomey-Calavi
コートジボワール
国立衛生研究所
National Institute of Public Health, Department of Malaria and Emerging Diseases

研究交流の実施体制
本事業では、日本、ガーナ、ベナン、コートジボワールの4か国が連携し、以下の3つの柱に基づいて研究交流を実施します。
- 共同研究
西アフリカ優占マダニ種の生物学的特性、マダニ媒介病原体、流行地監視システム、抗マダニ薬および予防治療薬の開発をテーマとして、多国間共同研究を推進します。 - セミナー
ガーナ、ベナン、日本、コートジボワールにおいて、Asia-Africa Science Platforms を開催し、研究成果の共有、若手研究者の発表機会の創出、国際ネットワークの強化を図ります。 - 研究者交流
若手研究者、大学院生、技術職員、研究支援者の相互派遣を通じて、フィールド調査、ラボ解析、データ解析、創薬研究に関する実践的な技術移転を行います。
問い合わせ先
コーディネーター
辻 尚利
(北里大学医学部寄生虫学・熱帯医学 教授
北里・野口感染症研究開発センター センター長)

